出雲弁の発音(訛り)と傾向
今回は出雲弁の発音(訛り)について。
前回の記事で「寿司(すし)」→「すす」になることをご紹介しました。
つまり、「し」の音は「す」になります。
このような発音には、ちょっとした傾向があるのですが、まずは通常の五十音と出雲弁の五十音を並べた次の表をご覧ください。
出雲弁の五十音のマーカー(赤)で示している箇所が、通常の五十音と異なる発音になります。
出雲弁の五十音(清音)
五十音 | 出雲弁の五十音 |
---|---|
あ い う え お | あ い う え お |
か き く け こ | か く く け こ |
さ し す せ そ | さ す す せ そ |
た ち つ て と | た つ つ て と |
な に ぬ ね の | な ぬ ぬ ね の |
は ひ ふ へ ほ | は ふ ふ へ ほ |
ま み む め も | ま む む め も |
や ゆ よ | や ゆ よ |
ら り る れ ろ | ら る る れ ろ |
わ を ん | わ を ん |
出雲弁の五十音(濁音、半濁音)
五十音 | 出雲弁の五十音 |
---|---|
が ぎ ぐ げ ご | が ぐ ぐ げ ご |
ざ じ ず ぜ ぞ | ざ ず ず ぜ ぞ |
だ ぢ づ で ど | だ づ づ で ど |
ば び ぶ べ ぼ | ば ぶ ぶ べ ぼ |
ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ | ぱ ぷ ぷ ぺ ぽ |
これの表を見て何か気づくことはないでしょうか??
そう。実は、【い段(母音にイをもつ音)】が【う段(母音にウをもつ音)】と同じ音(もしくは近い音)になるんです。※「あいうえお」「やゆよ」「わをん」を除く。
これは濁音(「゛」をもつ音)や半濁音(「°」をもつ音)についても同様です。
この五十音の仕組みがわかれば、さまざまな言葉を出雲弁の発音に変換できます◎
例えば、
「柿」の発音は「かく」
「島根」は「すまね」
「近道」は「つかむつ」
「にんにく」は「ぬんぬく」
「東」は「ふがす」
「みかん」は「むかん」
「リモコン」は「るもこん」
「銀行」は「ぐんこう」
「自動車」は「ずどうしゃ」
「鼻血」は「はなづ」
「ビビンバ」は「ぶぶんば」
「ピンチヒッター」は「ぷんつふったー」
といった具合です。
全ての品詞や言葉がこの傾向に当てはまるわけではありませんが、特に名詞などは大体このような音になります。
もちろん、訛りや発音の仕方は個人差があるので、ここまではっきりと発音しない人もいます。
先の例でいうと、
「銀行」は「ぐんこう」
ですが、人によってはハッキリとした「ぐ」の音ではなく、「ぎ」と「い」の中間の音で、どちらかというと「げ」の音に近い「げ(ぃ)んこう」と発音したりもします。
この辺りの聞き取りは難しいので、前後の文脈やその場の状況でなんとなく理解できればオッケーです!
例文で理解度をチェック!
では、出雲弁講座 vol.1 / vol.2 で紹介した出雲弁と、今回の発音(訛り)編を踏まえた例文を挙げます。サムネもヒントにして、何と言っているのかお考えください!
標準語訳無しで理解できれば完璧です◎
例文1:難易度★★
そこのすつむ取ってごさん?
→【標準語訳】そこの七味取ってくれない?
例文2:難易度★★★
今朝はすんずこでふつごにすずむが獲れたわ。
→【標準語訳】今朝は宍道湖でたくさんしじみが獲れたよ。
例文3:難易度★★★★
きんにょ薦めてごいた「ずめんすたつ」観(む)たわ!
→【標準語訳】昨日薦めてくれた「地面師たち」観たよ!
例文4:難易度★★★★
レスプに「とろぶ」って書いてあーけど、ふかげんはこーでいいかいね?
→【標準語訳】レシピに「とろ火」って書いてあるけど、火加減はこれでいいかな?
以上、例文でした!
おしまい:ではずかい!
今後の出雲弁講座でも、今回の発音表現を少しずつ織り交ぜていこうかと思うので、分からない言い回しがあればこのページを参照してみてくださいね。
また、実際に出雲弁を使っている様子を見たり、地元の人と会話をすることで、発音(出雲弁の五十音)について一気に理解が深まるかと思います◎ 島根にお越しの際は、ぜひ地元の人と会話してみてくださいね!
では、ずかいの出雲弁講座で!(では、次回の出雲弁講座で!)